小林製薬の紅麹の機能性食品(サプリメント)を摂取していた方が腎障害で亡くなった方がいるというニュースが話題になっています。
普段、薬局で働いているぱぱやくですが、早速、「自分の飲んでいるコレステロールの薬は大丈夫か?」という問い合わせのお電話を何件か受けています。
そこで、今回は紅麹とコレステロールのお薬、特にスタチン系と呼ばれる種類のものについて考えてみたいと思います。
紅麹とは?
そもそも、今回、問題になっている紅麹とはどういうものでしょうか?
紅麹は、米や麦などの穀類を、紅麹菌と呼ばれるカビの一種で発酵させたものです。鮮やかな赤色をしているのが特徴で、古くから中国や東南アジアで食品や薬用に利用されてきました。
紅麹に含まれる成分の中でモノコリンKという物質があります。
このモノコリンKにはコレステロールを下げる効果があり、この成分を元にスタチン系と呼ばれるコレステロールを下げるお薬は開発されています。
コレステロールの薬は危険なのか?
モノコリンK、スタチン系のコレステロールの薬。
テレビでこのワードばかり取り上げられているので、実際にコレステロールのお薬を飲んでいる方は心配になるのは当然です。
そこで、モノコリンKとスタチン系のコレステロールのお薬の構造式を比較してみましょう。
関東化学株式会社ホームページより引用
クレストール錠、添付文書より引用
リピトール錠、添付文書より引用
リバロ錠、添付文書より引用
メバロチン錠、添付文書より引用
リポバス錠、添付文書より引用
モノコリンKとスタチン系のコレステロールの薬の構造式を見てみました。
いかがですか?
構造式をよく見ていると、なんとなく似ている部分があったりしますよね?
あくまで、モノコリンKを元に開発がスタートしたスタチン系のお薬ですが、構造式はなんとなく似ている部分もあるけど、実際は全く別の物質です。
なので、スタチン系のコレステロールの薬が危険ということは全くありません。
紅麹の何が危険なのか?
今回の小林製薬の事件、腎障害で亡くなった患者さんが「紅麹のサプリメント」服用しており、その患者さんを担当していた医師から「腎臓の病気を引き起こす成分のシトリニンが含まれているのではないか?」という問い合わせで発覚したそうです。
一部の紅麹菌はシトリニンを合成することがあり、海外では基準値が定められていたり、紅麹を含む食品の販売を禁止している国もあるそうです。
しかし、小林製薬の使用していた紅麹菌はこのシトリニンを合成する遺伝子を持っていない株ということです。何か別の意図しない物質が含まれてしまっていて、それが結果的に腎障害を引き起こしたのではないかということで、現在、調査しているようです。
まとめ
ここまで、小林製薬の紅麹、スタチン系のコレステロールのお薬について、紹介しました。
結論から言うと、スタチン系のコレステロールのお薬は危険ではありませんので、心配せずに服用していただいて大丈夫です。(もちろん、用法用量は守ってください)
ただ、現在、コレステロールの薬を飲んでいる方でどうしても心配な方はまずはお薬をもらっている薬局の薬剤師に自分のコレステロールの薬はスタチン系なのか?別の種類なのか?聞いてみてください。
不安でどうしてもスタチン系の薬を飲みたくないという方は、まずは正直にその旨を主治医にお話してください。場合によっては他のコレステロールのお薬に変えていただくことも可能だと思います。
絶対に勝手に中止したり、それを内緒にしたりしないでくださいね。
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